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『兎の眼』あらすじ
著者の灰谷さんは17年間教師をして、やめた後、しばらくして作家活動をします。
そして、1974年に発表された作品がこちらです。
この『兎の眼』は灰谷さんの代表作でもあります。
小学校が舞台のお話です。
主人公は若くて美人な小谷先生。
小谷先生が鉄三というハエを飼うことが趣味で心を開かない生徒との関係構築をしようとする内に、教師と生徒の関係のとらえ方がどんどん変わっていくお話です。
とてもエネルギーの込められた作品で、読んでいて何度も胸が熱くなりました。
人それぞれの価値観があって、人と人とが正面からぶつかり合って、辛い苦しい思いに少しの嬉しい気持ちで小谷先生と生徒たちが成長していきます。
『 兎の眼』で印象に残った一行は・・・
たくさんの名場面があって紹介する一行を選ぶことが難しくて本のページをいったりきたりしました。
悩んだあげく選んだ一行はこちら。
みなこちゃんがすきになったら、みなこちゃんにめいわくかけられてもかわいいだけ。
-p154『兎の眼』灰谷健次郎
小谷学級でみなこちゃんという重度の障害をもつお子さんを一か月預かることになり、隣の席の淳一がみんなの前で小谷先生に伝えた言葉です。
この本は問題児である鉄三とのエピソードが中心で描かれているので、その中から選ぼうかと思ったのですが、でも、私はこの「みなこちゃん」に関する話がとても好きなのでやっぱりこっちに。
淳一の言葉がきっかけで今まで小谷先生が世話をしていたみなこちゃんをクラスのみんなが交代で面倒をみるようになります。
みなこちゃんはお漏らしするし、走り回って追いかけないといけないし、お世話をするのはとても大変。
でも、みんな弱音を吐かずに頑張ります。
みなこちゃんをめぐって、他の先生達や保護者達とも衝突がありますが、小谷先生も頑張ります。
そしてそんなみんなの頑張りをよそに自由気ままに生きるみなこちゃん。
がんばれ、小谷学級!と応援したくなりました。
おまけ
「みなこちゃん」の話とは別にもう1つ紹介したい話があります。
学校に子どもたちからは人気者だけど、先生達の間では少し厄介者の足立先生という男の先生がいます。
足立先生が授業の中で、良い作文を書く方法を教えます。
良い文を書くには・・・
したことは×、それ以外は〇
それだけ。
したことではなく、見たこと、聞いたこと、思ったこと、感じたこと・・・を書くと良い文になるというもの。
本の中で子どもたちの文章で具体的に差がわかるのですが、それがまあ、その通りすぎる!!
私が子どものときにこれを教わっていたら人生違っていたかもしれないと思い、自分の子ども達が読書感想文を書く年になったら教えようと思いました。