親が気に入った学校に子どもを入れていいのか?『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』の感想

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の続編。

黄色い表紙の一冊目は著者のブレディみかこさんの息子さんは11歳でイギリスの地元中学校に入学したばかりの頃を描いていました。

続編のこちらでは息子さんは13歳。日本でいうと中学2年生の年。

たった2年なのにこんなに成長するのかと驚くばかりです。

入学したての頃は学校の中のこと、友達との関係などについて息子さんが悩んでいたのが、続編では地域のことや社会のことまで考えるようになっていて、息子さんの世界が広がっていく様子がわかります。

日本では中学生といえば授業があって勉強して、という過ごし方ですが、イギリスは社会問題を考えたり地域の活動に参加する機会が多いんだなあと今回も違いに驚かされました。

お父さんが「俺みたいになるな」と言うところ、

学校のコンサートでとてつもなくうまい歌声を披露した子の母親が「あの子はみんなの中の一人にすぎない。」と言うところ、

もう名場面が詰まり過ぎていて紹介する一行とても悩みました・・・。 

そして悩んだ結果、この一行にしました。

一年ぐらい前に同じ質問をしたときには、迷いもなく「今の学校にしてよかった」と彼は言ったのである。

p203『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』ブレディみかこ 

ブレディみかこさんが惚れ込んで息子を入れた地元の中学校。

名門のカトリック中学校に入ることもできたけど、それでも選んだ地元の中学校。

息子さんにとっても良い選択だったと思っていたブレディみかこさんでしたが、息子さんはどちらの方がよかったか「わからない」と言ったのです。

息子さんも良いと思っていた選択が、どこか変わってきた。

そして息子さんがそんな風に思っていることにまったく気づいていなかったブレディみかこさん。 

もちろん聡明な息子さんなので、この後、自分の言った言葉に衝撃を受けている母親に言葉をかけます。

息子さんが精神的に成長していく姿がブレディみかこさんの親目線で頼もしくも切なくも描かれています。

私も自分の卒業した高校が大好きで娘に行ってほしいと思うことがあるのですが(特に夫は行かせる気満々)、この話を読んで当たり前に進路を用意するのはやめようと。

進路なんてまだまだ先の話だけど、きっとあっという間にその日がくる。

そのときまでこの本を大事に本棚にしまっておこうと思います。

後悔がある人生は豊かな人生

ついでに、私はこのエピソードで思い出す話があります。

将棋の羽生善治さんが落合洋一さんとの対談で「豊かな人生とは何か?」という質問に「後悔が沢山あること」と答えていたことです。

後悔できるのは他にも選択肢があったからで、それだけ選択肢が多いのは恵まれているということ。

この本に出てくる息子さんにもこんな考え方もあることを伝えたいし、私も娘たちを育てるときに後悔してもいいから選択肢をたくさん与えてあげたいと思います。

羽生さんのお言葉はこちらです。