2020年秋に映画化されています。
主人公が小松菜奈さんなので時間が許せば見たい。
(でも、原作の方が大体良いんだよな・・・。)
西加奈子さんの『サラバ!』に感銘を受けた後に読んだので、少し雰囲気似ているなあと思いつつもそれが西加奈子さんの良さでもあるので飽きずに読めました。
兄、主人公、妹の話。3人の兄弟の話。兄弟の真ん中の男の子目線で書かれています。
選んだ一行は…
一度見逃したボールは、次から次へと兄ちゃんのとこに飛んできて、いつしか兄ちゃんは、バッターボックスに立つのも怖がるようになってしまった。―P316
順風満帆だった主人公の兄の人生が事故で大きく変わった後に弟が兄の人生を野球に例えます。
神様は今まで兄ちゃんに甘いボールを投げてきて兄ちゃんはホームランを打ってきたけど、球筋が変わってきた、と。
主人公の兄ちゃんはバッターボックスに立つことをやめてしまいます。
『さくら』なんて明るい雰囲気の名前がついているけれど、呼んだ後の作品のカラーはグレーという感じ。
小説の紹介には『春の訪れとともに読みたくなる』と書いてあるけど、春の間の抜けた陽気にはあまり合わない。
寒い冬に向かう秋の夜長に似合う本。
私も兄弟の真ん中なので、兄がいるから妹だし、弟がいるから姉としての立場もある。
だから強い兄ちゃんでいてほしいという妹目線と、いつまでも強い姉ではいれないという姉目線どちらもわかる。
小さいときの兄弟の関係が大人になると段々変わっていく。
その関係を受け入れられたり、受け入れられなかったり…。
サクラには兄弟が成長する中で影響しあう複雑な心境が描かれています。
サクラを読んで、兄弟と一緒に暮らしていた頃を振り返って、「あのときどう思った?」なんて兄や弟に聞いてみたくなったけど、実際は恥ずかし過ぎて聞けない。
まずは正月に会ったら読むように勧めてみようかなと思いました。