たくさんの賞をとった梨木さんの作品です。
芦田愛菜ちゃんの『まなの本棚』でも紹介されています。
小学生、高学年~中学生の読書感想文にもおすすめかなと思います。
主人公は中学生で不登校のまい。
母親に連れられて田舎のおばあちゃんの家で一か月を過ごします。
おばあちゃんは外国の方なので、ハーブティーやサンドイッチ、魔女の話など日本の田舎とは違った雰囲気で、その世界観がよりまいを現実の世界から遠ざけていくように感じます。
選んだ一行はこちら。
なぜ、そのとき、荒野の唯一の避難所のようなあの家で暮らすことを選ばなかったのだろうと、まいは後々まで不思議に思った ―p99~100
おばあちゃんがずっとここで暮らしていいとまいに言いますが、まいは学校があることやママが心配することなど本心かはよくわからない理由を並べて断ります。
すごく居心地がいいのに、でもここにずっといてはいけない・・・。
私も実家に里帰りしたときに同じような気持ちになりました。
実家は秩父の田舎にあって自然に囲まれていて、両親もいて暮らしやすい。
今みたいに夫と2人でせかせか働かなくても十分ゆったり生きていける、そんな気がしたけど、再び戦場に戻ったわけです。
私が田舎で暮らすことを選択しなかった理由…この本に重なる部分があると感じますが、言葉にして説明しようとすると難しい。
居心地のいい田舎にとどまってしまったら、逆に戦場に戻ることはできない?
頑張れるところまで頑張って、無理だと思ったときの安全基地にとっておきたい?
今まで積み上げてきたものを手放すことがこわい?
やっぱりまいと同じで歯切れの悪い回答になってしまいます。
作品の最後にまいが憧れる女性が出てきます。
おばあちゃんと過ごした非日常とこれからまいが生きていく現実世界、時代が変わっていく境目を生きるまいの成長にどんな人も重なる部分があるのではないかと思います。
この本に対しては、まなちゃんの感想と自分の感想が全然違っていました。
中学生のまなちゃんと大人になって子どものいる自分では印象に残る部分がこんなに違うんだと驚きました。
読んだときのライフステージで全く違った感想を抱く内容になっているところもこの本の魅了です!