木洩れ日に泳ぐ魚 by恩田陸
恩田陸さんの作品というのはどうしてこうも一気読みを余儀なくされるんだろう。
『六番目の小夜子』に続いてまたまた引き込まれて、一気読みをしてしまいました。
引っ越しで片付いた部屋にスーツケース1つと男女。しかも一夜だけの話。
そのシンプルさが故にわかりやすく物語の中にどっぷりつかることができるのかもしれません。
この本を読んで印象に残った一行は
私の手は、つかむつもりだったものを失い、宙を泳いだ。 ―p68
68ページという割と早い段階からの抜粋です。
だってそうじゃないとネタバレしちゃうから。
ラストの方はどの一行とってもネタバレしちゃいそうで。
本当にそれくらい謎が多い物語です。
この一行はこの作品を読みながら私がずっと感じていた気持ちがまさにこんな感じだなあと思い選びました。
私は物語の真相をつかめないような気持ちがよく当てはまっていると感じましたが、物語の中ではまったく違った内容で使われています。
読者と物語の中の登場人物の違った心情なのにどちらの気持ちにもこの一行が当てはまってしまうところがすごい!
真実をつかみそうでつかめない、そんなドキドキが最後まで続く物語です。
物語の中でどんな場面で出てくる一行なのかも楽しみに読んでいただけたらと思います。
一気読みがおすすめなので、1~2時間の時間を用意して読むことをおすすめします。