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「かがみの孤城」辻村深月 を読みました
2017年王様のブランチBOOK大賞を受賞し気になり図書館で予約待ちするも中々順番がまわって来ない…。2018年本屋大賞にもノミネートされ、待ち切れず購入してしまいました。
中々分厚いのですが、購入して3日で一気読みしてしまいました。
読みやすくストーリーに引き込まれ、おもしろさと感動が詰まった作品です。
「かがみの孤城」のあらすじ
あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。
輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。
そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
https://www.poplar.co.jp/pr/kagami/
城での出来事
城で集められた7人の前におおかみの仮面をかぶった女の子”おおかみさま”が現れます。
そして、城が存在するのは3月30日まで。更に城の中にある鍵を手に入れて願いの部屋に入れた者の願いを1つだけ叶えることができると説明します。
城が開いているのは日本時間の9時~17時。
それ以降に城に残っているものがいた場合、おおかみに食べられてしまう。
願いを叶えた時点で城はなくなり、城での出来事は7人の記憶から消える。
もし、鍵が3月30日までにみつからなければ、城は消えるが城での記憶は7人の中に残るというものです。
突拍子もない話にはじめの内は半信半疑な7人も段々とおおかみさまの話を信じ、城での生活を楽しみつつも鍵を探すようになります。
▼ネタバレの詳細はこちらの記事で書いています。
「かがみの孤城」のネタバレ。あらすじを徹底解説。完全なネタバレなので、これから読もうと思っている方は見ないでくださいね☆
「かがみの孤城」の感想
不登校の主人公”こころ”の心境
こころが受けたいじめはひどさの程度は違えど女子なら一度は遭遇したことがあるようなものだと思います。
リーダー各の女子の恋愛に自分からは何をするでもなく巻き込まれて、勝手に嫉妬され、グループからはぶかれ無視されひどい言葉を言われる。
私も程度は軽いものの自分の中学時代の似たような出来事を思い出し、読んでいて胸が苦しくなりました。
こころははじめの内はいじめられたことがトラウマで人間関係をなんでもネガティブにとらえています。
そして、学校に行かなきゃいけない。行っていない自分には欠陥があると思い込んでいます。
でも、城で出会った7人と打ち解けていく内に学校がすべての中心という考えから徐々に開放されていき、自分の意見も言えるようになっていきます。
そして、城で過ごす内に現実世界での自分自身の問題も少しずつ解決していくことになります。
ストーリーそのものもおもしろいのですが、こころの変化していく心境がとてもリアルに描かれていて共感してしまいます。
さらにこころの両親の思いや担任の先生のいじめへの対応の仕方など、こころの周りの大人たちとのこころとの関係も詳細に描かれています。
子どもは親の期待を言われなくても感じ取ってしまうものです。自分の子どもが万が一不登校になったらどんな言葉をかけたりどんな行動をとってほしいのかが少しわかったような気がします。
作者の辻村さんの思い
ブランチのインタビューで作者の辻村深月さんが自身も不登校だったことを告白していました。
不登校だったことは世間に公開したことは無かったけど、あるとき「かがみの孤城」をきっかけで実現した不登校児との対談で、不登校児から「学校行けてなかったんですよね?」と見破られてしまったのだそう。
辻村さんはこのとき作品に込めた自分の当時の苦しみが理解してもらえた気がしてとてもうれしかったそうです。
そんな辻村さんの強い思いの込められた作品だからこそ、世間からも広く評価されたのかもしれません。
こんな人に読んでほしい
分厚い本ですが、読みやすい内容なので小学生高学年から大人まで楽しめると思います。私も娘が大きくなったら読書感想文候補としてすすめたいと思います。
不登校で悩む人やそんなお子さんを抱える方にはもちろん読んでほしい作品です。
いじめという子どもを持つ親ならばだれもが恐れる内容がテーマの1つでもあるので、これから子育てをしていく方にも是非読んでみてほしい!!
「かがみの孤城」を読んだ親目線の感想
子どもがいじめに合ったら…を考える
私自身も娘がいるので、主人公のこころと同じような境遇になったら親としてどう対処すればいいのか考えさせられました。
普通の子と同じように学校に行ってほしいというか行くもんだという当たり前が、子どもにとってはものすごくプレッシャーになってしまうこともあるのだなあと思いました。
それから、主人公のこころが最後の最後までいじめられた出来事を大人に話せなかったように、子どもっていじめられていることを親に中々言えないものですよね。
私も学校であった良い出来事は家で話せても嫌だったことって中々話せませんでした。なんとなく、それで親を悲しませたり心配させたくないと思っていました。
自分の娘には家は弱音を吐ける場所にしてあげたいなあとこの作品を読んで改めて思いました。
逆に自分の子どもがいじめをしていたら…
「かがみの孤城」を読んで子どもがいじめる側だったらということも考えました。
いじめられないようにうまく立ち振る舞うためにいじめる側に立ってしまう可能性もあるし、自分では信じている子どもが実はいじめの主犯だったなんてことも起こりうる話です。
意外と自分の子どもがいじめられているよりもいじめをしている側つまり加害者だった場合の方が受け入れられないんじゃないかなあと思いました。
特に娘はまだ2歳なのでこんなかわいい子がそんな悪事を働いたなんて聞いたら信じられるだろうか…。
「かがみの孤城」では加害者の親は出てきませんが、担任の先生(伊田先生)はいじめの主犯の話を最後まで信じていてました。こころは最終的に伊田先生のクラスからはずしてもらうことになります。
自分のことを慕ってリーダーシップもあり、みんなからも好かれているこの子がいじめているわけない!なんて気持ちでしょうか。
自分の子どもを信じることも大事だけど、成長と共に疑わないといけないことも出てくるんだろうと覚悟させられました。
ストーリー自体がおもしろいことに加えて、色々と考えさせられる一冊です!
気になった方は是非チェックしてみてくださいね☆